経営とイデオロギー

勤務弁護士ないしノキ弁の受任事件の売上と事務所との関係については、「定率説」「累進説」「逆累進説」が存在します(他に、ノキ弁限定で「定額説」もあり)。

事務所に売上から決まったパーセンテージを入れるのが「定率説」ですが、そのパーセンテージを売上によって変動させる場合、「売上が高い者は、より多くの負担をするべき」と考えれば、売上が一定ラインをこえるとパーセンテージが上がる「累進説」、逆に「売上が高い者には、より大きな褒美が与えられるべき」と考えれば、売上が一定ラインを超えるとパーセンテージが下がる「逆累進説」につながります。

「累進説」と「逆累進説」の思想の根源は、それぞれ富の集中を社会悪の根源とみなす社会主義、成果による格差を是とする資本主義との親和性があるような気がします(他に、昔は「国民の経済活動は推奨するが、そこに課税するのは悪である」とする「ユートピア派」ないし「アラブの王様派」も存在したようですが、弁護士業界の競争激化によって絶滅ないし絶滅寸前となっています)。

先日、「累進派」の巨頭が「逆累進派」の雄を相手に

「ノキ弁から、『稼げば稼ぐほど持っていかれるうちのシステムだと、稼ぐ元気が出ない!』と抗議されている」

とぼやいているのを聞きましたが、「逆累進派」は「逆累進派」で、

「強者優遇?俺の経費負担率を見てから言え!このシステムは、まずは己を犠牲にする聖人的精神があってこそ初めて成り立つのだ」

という不満を漏らしています。

どんなシステムを取ったところで、結局何かしらの問題には直面しなければならないわけで、経営の本質とは、果たしてイデオロギーなのか?という疑問に対しては、「否」と答えるのが正解でしょう。累進派には累進派、逆累進派には逆累進派の悩みが尽きないのです。

「本陣殺人事件」動機の謎

【本文は、「本陣殺人事件」を含む横溝正史原作のいくつかの作品のネタバレを含みます】

 

 

子どもの頃、恐怖の対象だった「本陣殺人事件」の表紙。

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再読していて、うちと作中の一柳夫妻の結婚記念日が同じという事実が、じわじわ胸に来る・・・

ところで、「本陣殺人事件」と検索すると、必ず「動機」という単語が予想検索ワードに出てくることからも分かるとおり、この作品での真犯人の動機は古くからツッコミの対象となっている(・・・というか、発表直後から、江戸川乱歩にツッコまれたらしい)のですが、

「出来のいい分家の息子に跡を継がせるため、邪魔になる本家の娘たちを37564にする」

「女たらしな夫がよそに産ませた娘たちが、自分の出来の良い息子に(事情を知らないまま)言い寄ってくるため、近親結婚を防ぐためにその娘たちを37564(以下ry)」

「意中の男が自分に言い寄ってこないのは、資産持ちの自分に釣り合う資産を男が持っていないからだと断じ、男に親族の資産を相続させるため、男の係累を37564(以下ry)」

といった他の代表作の動機が特にツッコミの対象とされることはあまりないのに、

「あるきっかけによって愛情が憎悪に反転し、愛情の対象を殺す」

という、現代社会にも通じる(・・・というか、構図がよく似た事件も現に起こっている)この作品の動機だけ、なぜか総ツッコミを浴びせられるというのも、理不尽な気がしてきました。

「本陣殺人事件」と真備

真備地域が横溝正史疎開の地=金田一耕助の聖地であることは知っていたのですが、不覚にも「本陣殺人事件」の舞台が正真正銘の真備であることは、知らなかったないしすっかり失念していました。

「本陣」=矢掛本陣、と勝手に思い込んでいたのですが、事件の地は「獄門島」とか「鬼首村」とかの架空の地名が設定されることが多い金田一シリーズの中で、デビュー作の「本陣殺人事件」は、「清-駅」(清音駅)で汽車から降り立ち、「高ー川」(高梁川)を渡って事件発生地となる「岡-村」(岡田村=真備町岡田)へと至る情景が描写されているのです。

私と金田一耕助というと、その縁は決して浅くありません。金田一耕助といえば岡山というイメージといった一般的なお話を超え、「本陣殺人事件」はもちろん、代表作とされる作品は、少なくとも中学・高校時代までに読破しています(十指には十分余るはず)。作中の「琴の怪談」の元ネタが岡山一中に伝わる怪談というのも、岡山一中の後身高校の出身者たる私としては、忘れてはならない小ネタです。さらに、某所で一度だけ放映されたパロディ映像で「冒頭で毒殺される弁護士」「スケキヨ」を演じたのは私であるという、生涯の黒歴史での関わりまであります。

「日本三大名探偵」と言われながら、知名度が明らかに大きく劣るうえに、あまりに完璧超人すぎて感情移入がおよそ困難である神津恭介、登場時は金田一の兄弟分と言っても過言ではない容姿だったにもかかわらず、いつの間にかスタイリッシュに転生を果たしてしまった明智小五郎とは違い、金田一耕助だけは生涯およそモテそうにない描写を貫かれている点は、フラレタリアートとしても見逃せません。作中で2人の女性に惚れたものの、相手に応えてもらったことは一度もない・・・というのも、ポイントが極めて高し。作中で結婚している明智、最終的に結婚したか否かは曖昧なものの、いい仲の女性がいた神津と違い、生涯独身を貫いたという部分は、私を明らかに上回っています(孫などいない!)。

名探偵にして、フラレタリアート。そんな彼のデビュー作、それも知名度が相当高い本作について、舞台を誤認していたというのは、私にとってかなり重大な不覚であると言わなければなりません。

集中豪雨で極めて重大な被害を受けた真備地域ですが、復興のためには観光の復活も不可欠となります。被害からの一応の立ち直りの兆しが見える時期には、「本陣殺人事件」を片手に、清音駅から金田一耕助の旅に出たいと思います。

被疑者逃亡の原因はどこにあるのか?

大阪・富田林署の被疑者逃走事件では、弁護人接見終了後の時間帯が逃亡に利用されたようで、その要因として、一部では

「弁護人が接見終了を警察に知らせなかった」

というような書き方がされています。

しかし、たいていの警察署では、弁護人が接見室から退出する際、警察官の目にふれないような構造にはなっていません。・・・そこに警察官がいさえすれば。

夜間や休日に接見を終了した際、警察官に声をかけようとしても、彼らがいるべき部屋に誰もおらず、大声を上げても返事がない・・・ただのしかばねのようだという経験は、刑事弁護人をある程度経験している弁護士なら、ほぼ共有できるのではないでしょうか。一番本質的な問題が、警察署が本来必要な人員を配置していないことにあるということは、弁護士の立場から強く指摘しておきます。

弁護士商圏限定説

私の弁護士の経営上の仮説として、「弁護士の商圏は、現在の自治体ではなく、住民意識に根差した、より狭いコミュニティに影響される」というものがあります。

岡山地裁周辺や、最近は出店の動きが急な岡山駅周辺部分のように

「弁護士は、このへんにいるものである」

と市民の多くに認知されているエリアであれば、この制約とはあまり関係ないようですが、

「それ以外のエリアに行けば、そのエリアを独占できる!」

という目算を立てた場合、「そこに弁護士がいる」という認識を一般市民に持たれなければ、何の意味もない・・・という問題を脇に置いても、「そのエリア」が、自分の事前の目論見と本当に一致するのかどうかは、十分な検討の余地がありそうです。

で、私の仮説としては、「平成の大合併」の結果誕生した自治体は、住民の意識の中では日常生活に根差したものとなっていないため、それ以前の旧自治体単位、あるいは、それより狭い地域、例えば中学校区や小学校区、下手をすると行政的な区割りと異なり、地元民にしか通じない「〇〇町」といった単位でしか、集客ができないケースもありうる・・・と思っています。

ただ、その正誤を判定するためには、実際にそのエリアで開業した弁護士たちの経営状況を偽りなく知らなければならないため、ほぼ無意味な妄想としかならないのが残念なところです。

 

動物愛護の精神

実家の裏の川に棲むという、1m級?の大物ナマズ「ぬる吉のママ」(略称「ぬるママ」)を捕獲するべく執念を燃やしていた息子が、突然

「ぬるママを捕まえても、そのまま川に逃がす」

と言い出しました。子ども?を2匹捕まえたことにより、

「捕まえてしまうより、今後も川で卵を産んでもらう(そして、今後も子どもたちを追いかける)方がいい」

という境地に達した模様。でも、ライフワークとして追跡は続けるとのこと。

「美味しいから」「高く売れるから」などと言って、野生生物の最後の一匹を取り尽くすまで捕獲を続ける大人より、よほど賢明。。。

ヌルハチの兄

ヌルハチのえさとして、川魚を捕獲に行ったところで、2匹目のナマズを捕獲。

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捕まえたのは同じ川のほとんど離れていないポイントですが、2cm強のヌルハチと違い、こちらは10cm強あるので、明らかに先に生まれており、息子の中では「ヌルハチのお兄ちゃん」・・・ということになっています。

名前は「ぬる七郎」か(注・メスの可能性は想定していないらしい)、「ぬるりひょん」のどちらかにするそうです。共食い防止のため、同じ水槽では絶対飼えない。。。

 

不孝の10代目

お盆なので、実家に家紋入りぼんぼりが出ていました。

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「逆さ三つ地紙」というそうですが、ベンツのエンブレムを上下逆にした「逆さベンツ」とは以前から言われていました。しかし、今回、これを目にした息子曰く

「車のハンドル!」

とのこと。確かに・・・

こうもやたらと車関係のイメージばかりが浮上してくると、本来なんの関係もないはずですが、30歳を過ぎるまで運転免許を取ら(取れ)なかったことが、ご先祖様への不孝に思えてくる不思議。

悲願成就!

息子が見事に悲願を成し遂げました!しかも、今度は自分自身の網で、ついにぬる一族を生け捕ったのです。

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大きさは2,3cmで、父がネットで調べたところによると、孵化してから2、3日ではないかというサイズですが、逆によく網の段階で見落とさなかったものです。

おかげで実家から家に戻る車では、車の揺れと振動で水槽から水となまずがこぼれることを警戒する息子から、

「ゆっくり運転して!もしなまずが死んだら、泣いてやる!1800秒泣き続ける!絶対泣き止まない!」

と後部座席から脅迫?され、歴史上稀に見る安全運転を実践できました。

名前については、提案権を与えられた私から「ヌルリーニョ」「ヌルニコフ」「ぬる丸太夫」「ぬる三郎右衛門」「ぬるりひょん」「ヌルーフ・ウッディーン」「ヌルクェイド・ブリュンスタッド」「ヌルトリア・ペンドラゴン」などの候補をあげてみたところ、息子はどうやら「ヌルハチ」が一番気に入った模様。

「ヌルハチ」には、今後の水槽暮らしに慣れてくれるといいのですが。。。

「左利きの会」

某弁護士会には「左利きの会」があるとのこと。

左利きで生まれた人々が、自動改札、エレベーター、自動販売機といったさりげない日常生活の場で受けている不遇な扱いへの思いを共有し、右利き、左利きの平等社会への夢を語り合う会だそうです。夢は、ラーメン屋のカウンターを全員左利きで埋め尽くし、遠慮なくひじをつくこと・・・とのこと(いつもは右利きとぶつかることを恐れ、腕をつくこともできないのだそうな)。

・・・右利きの私ですが、これは正直、目からうろこが落ちた思いです。左利きの人々は、決して右利き社会に即時の形式的平等を要求するわけではありません。特に旧世代は、教育によって矯正された結果、右腕で日常生活をこなすこと自体は無難にできる人が多いけれど、ただ少数派として置いて行かれがちなさりげない日常、現状への不満を共有し、右利き社会に適応しつつも、いつか来るべき利き腕平等社会への夢を語り合う・・・という趣旨には、なかなか泣けるものがあります。この話を聞いて感動した他会の左利きも激しく感動し、賛同して支部の設立を誓っていたので、このムーブメントは県境を超えたものになるかも知れません。

ちなみに、入会方法は「会員が候補者の日常生活を観察し、左利きであると確信した時点で声をかける」という、秘密結社色バリバリなものでした。真の左利きの皆さんも、いつかこの会の勢力が自分の周囲まで広がった暁には、見落とされることなく自分に声がかかるよう、さりげなく左利きをアピールしてみてはいかがでしょうか。