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2件の死刑求刑(22/11/07)

新潟の女性殺害事件、大阪の父弟連続殺人事件で相次いで死刑が求刑されたとのことです。

以前、日本では実は昨年6月の筧千佐子死刑囚以降、新しい死刑確定者が発生していないことに触れましたが、1審死刑判決も、昨年8月の工藤会総裁以降、1年以上にわたって下されていません。

今回の2件はというと、いずれも事実を争っている事案ということです。弁護人の労苦を思うと、夜も眠れなくなりそうです。

ただ、証拠の有無や評価を外野が想像で語ってもしょうがないので、私の個人的趣味に従って、今回は有罪であった場合の量刑として死刑との関係を考えてみます。

新潟については1人に対する強姦致死を含めた4人の女性に対する強姦によって無期懲役受刑中、さらに今回の殺人が発覚したという経緯なので、有罪を前提とすれば、今回の裁判対象は「1人殺害」でも、「生涯の中で2人を死に至らしめた」ということになります。これは確かに「形式的には1人殺害」の中でも死刑が比較的ありうる類型となります。「裁判中の事件が1回目、前科事件が2回目」の場合は一事不再理の関係で1回目を重く評価するのが難しくなるのですが、今回の流れは「前科事件が1回目、裁判中の事件が2回目」のようなので、死刑判決はあり得ます。

ただし、今回の場合、前科事件は「致死」、つまり殺意が認められていない点が問題となります。同様の多くのケースでは、「殺人」→「殺人」がほとんどなのです。異時機会の強盗殺人2件の裁判で、うち1件の殺意を致死に認定落ちさせた結果、無期懲役とした案件もあるし(高裁で「致死」が「殺人」に化けて破棄、死刑自判)、境界線的な要素が多々ある事件です。

大阪については、親族2名の異時機会の殺害となっています。親族内の事件はそうでない事件より量刑が割り引かれる傾向が強いため、複数殺害といっても2人だと死刑求刑に至ることは多くないのですが、今回は別々の機会に殺害しているという親族外ではよほど特殊な事情がない限り死刑求刑、判決となることがほとんどの類型であるという事情(被告人は認めていないため、現状ではあくまでも検察側の見立てになりますが)を優先させての死刑求刑です。

死刑と無期の境界線に、実は学生のころから注目し、私的に研究を続けてきている私にとって、今回の2案件はいずれも注目せざるを得ない要素が重なっています。判決の結論を待つとともに、この研究の成果を私が当事者として生かしうる機会が決して来ないことを、心より祈念しております。

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