1年間楽しませてもらった「鎌倉殿の13人」も、もう大詰めの時期を迎えました。予告編的に、承久の乱を描くならどう構成してもヤマ場とならざるを得ない北条政子の演説が次回となるのは確定なので、今週は承久の乱前の最後の回でした。・・・そして、阿野義元の怒涛のナレ死、「鎌倉殿・・・」で省略された源氏男系の粛清の果てに鎌倉殿として迎えられたのが、「頼朝の妹の娘の娘の息子」である九条頼経です。先代鎌倉殿の実朝から見ると、父の妹の娘の娘の息子=6親等の血族で、現代日本法の観点からはギリギリ親族です。・・・慈円さん、頼経の出自をそんなに長々と説明しなくても、「頼朝公の妹君のひ孫」でよかったのでは・・・?
源平ドラマでまともに描かれたのを見たことがないのですが、頼朝には同母の妹「坊門姫」がいて、普通に藤原北家中御門流一条能保(最終的に従二位権大納言)へ嫁ぎ、その血統から生まれたのが九条頼経になります。・・・坊門姫様、あなたは嫁いだ当時、謀叛を起こして殺された首魁の娘ではなかったかと。今ならともかく、当時の情勢でそれほどのいわくつきの家門の娘を嫁に迎えるとは、この時代に限らず、殿上人の感覚はよく分かりません。
閑話休題。今週のヤマ場は、やはり義元をそそのかした罪で窮地に陥った実衣を救うため、政子が「尼将軍」となるところ…なのでしょうが、政子が正式の役職でもない「尼将軍」を名乗る決意をしただけで、それまであれだけ好き勝手していた義時の首根っこを抑えてしまえるのは、ちと不可解な気もしました。あの時期の鎌倉政権は、「幕府の事実上のトップ=義時、源氏将軍家&北条家の事実上の家長=政子」という両輪で回っていて、義時はもともとお姉ちゃんに頭が上がらなかったのではないか・・・と思っているのですが、「鎌倉殿・・・」では義時があまりに強く、そして黒くなりすぎたための超展開です。
超展開ついでに、実衣はあのままだと本当に目そぎ鼻そぎになっていたのかどうかも気になります。ちなみに、しれっとそう言っていたのは鎌倉のオーベルシュタインこと大江広元。あんた、怖すぎるよ・・・。当時の身分が高い女性でそこまでされた例を、私は聞かないのですが・・・。
女性を容赦なく殺したのは、鎌倉武士よりむしろ古代の皇族、貴族だったりします。7~9世紀ごろ、夫や息子の反逆(ほとんどでっちあげ)のついでに殺された女子供の多いこと多いこと。平安期の「死刑廃止」とやらは、一部の人々が言うように「我々の祖先の先進性の現れ」などではなく、あまりに派手に政敵(を謀叛人に仕立て上げたうえで)の族滅をやりすぎた結果、怨霊に悩まされるようになった結果です。そうだ、三谷幸喜さん、次はそんな貴族社会のどろどろりんな恐ろしさを大河で(以下ry)