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対バイオロン法

特撮ものは、ほとんどの子どもは一定の年齢に達すると見なくなっていくため、世代がずれた作品はほとんど知らないことが珍しくないのですが、最近「機動刑事ジバン」(1989-90)の「対バイオロン法」なる法律がすごいという評判を知り、実際にその内容を確認したところ、腹筋のけいれんが止まらなくなりました。

「機動刑事ジバン」とは、人間の心を持ったままロボットに改造された刑事が、変身して「機動刑事ジバン」となり、悪の組織「バイオロン」と戦う、今はなき「メタルヒーローシリーズ」の作品です。この作品の見せ場は、様々な悪事を働くバイオロンに対し、ジバンが電子警察手帳を見せつけ、「対バイオロン法」を読み上げたうえでやっつけるところなのですが、そこで読み上げられる「対バイオロン法」が素敵すぎると、ネット界でもあちこちでとりあげられる代物でした。

第一条

機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕することができる。

第二条

機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる。

(補則)場合によっては抹殺することも許される。

第三条

機動刑事ジバンは、人間の生命を最優先とし、これを顧みないあらゆる命令を排除することができる。

第五条

人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイオロンと認めた場合、自らの判断で処罰する事ができる。

第六条

子どもの夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い。

第九条

機動刑事ジバンは、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で抹殺することができる。

(欠番は、作品中では明らかにならなかった条文)

・・・第1条に基づいてジバンが逮捕した被疑者は、はたして勾留の際どのように扱われるのだろうかと思いましたが、作品中で出てきたバイオロンは、これが読み上げられた後は基本的に 抹 殺 さ れ る ので、勾留の問題は生じないようです。うん、よかったよかった。

で、第2条では、ジバンはバイオロン「と認めた(もの)」を自らの判断で、抹殺も含めて処罰できます。そこに「バイオロンがなんらかの犯罪を犯す」という前提すらありません。その反面、ただのバイオロンではなく、「人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイオロン」と認めた場合、その「バイオロン」は第2条より悪質に見えるわけですが、第5条で単に「処罰することができる」を繰り返すだけです(補則もないが、実際にはこのバイオロンも抹殺しているらしいので、きっと作中で出てこなかっただけで、同様の補則があるのでしょう)。バイオロンは無条件で処罰されるにもかかわらず、悪を実行したバイオロンについて単に「処罰する」と繰り返すだけの規定に何の意味があるのか、謎のままです。

第3条は、人命尊重規定ですが、バイオロンへの容赦ない抹殺根拠規定と並列だけに、むしろ「バイオロンは人に非ず」という非情さがにじみ出る効果しかありません。

第6条に至っては、条文の形すら超越しています。

こんな「対バイオロン法」は、日本国憲法下ではたぶん違憲無効を免れないような気がしますが、作品内の世界では、全く別の憲法が施行されているのか、バイオロンは逮捕以前に抹殺されるから裁判にかからず、そのため「対バイオロン法違憲判決」が出ていないだけなのかは不明です。この世界の日弁連も、反対運動をしたりしたのでしょうか?

それはともかく、これほどジバンの事実認定能力に信頼がある世界で、ジバンが「機動判事」として開発されなかったのかは理解できず、悔やまれます。

とはいえ、これほど奥深い世界を見せてくれた「機動刑事ジバン」は、いつか本物を見てみたいと思っています。

 

1 Respond for 対バイオロン法

  1. […] 無念 2019/05/20 23:15:18 バイオロン絶対殺る法 57: 無念 2019/05/20 23:15:27 http://aozora-law.info/blog/?p=1738対バイオロン法 笑六法 […]

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