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憐れむべき天才

「麒麟がくる」があと2回と佳境を迎え、激熱な展開になっています。すべてが本能寺の変という悲劇に向けて収束していく、信長と光秀。結局本能寺の変の動機は、暴君討伐説、つまり太平の世を築く(=麒麟を呼ぶ)ために支えてきた信長がむしろその妨げになると気づいてしまった光秀が信長を排除する―というものになりそうですが、今作では、暴君として討伐されるはずの織田信長の造形が悲しく印象に残りそうです。

「麒麟がくる」での長谷川光秀の究極目標が「麒麟を呼ぶ」ことであることは、前半から繰り返し描写されてきた(斎藤道三の遺言も、まさにそれ)のですが、その一方で染谷信長の目標は、一貫して全く異なるものとして描かれました。

「国が強くなれば、みんなが喜んでくれるから」

というのが、彼による天下布武の動機です。そして、その決定的な違いを、信長は一度も認識したことすらない一方で、光秀は割と見て見ぬふりをしてきたところがあります。今日は、そうした2人の関係のひとつの破綻が描かれました。今回の信長は、たぶん自己評価が凄く低いので、

「正親町天皇が光秀を呼んでこそこそ話していた」→自分の悪口?と不安で不安でしょうがなくなる→光秀に聞いても教えてくれない→不安が爆発して、暴力に走る

という絶望感が、すごく伝わってしまいました。たぶん、信長のこのへんの扱いを一番理解しているのは、あの悪そうな佐々木秀吉というのが、信長の悲劇。。。

信長が国づくりや軍事面では天才的な才能を見せる(その辺のドラマ内での描写は薄かった気がしますが・・・)一方で、他の登場人物への贈り物はことごとく外す(親父には殴られ、将軍からは鸚鵡を突き返され、天皇陛下からは蘭奢待を毛利へ横流しされる)絶望的な人間関係へのセンスの無さは、国が強くなればなるほど孤独になっていくしかない信長の哀しみを見事に表現していました。そして、足利義昭、家康、正親町天皇といった主要人物が次々光秀に信長暗殺をけしかけるような言動が続き、ついには来週の予告編で、序盤での最大の理解者であったはずの妻・帰蝶Pから「毒殺宣言」をされるに至る・・・なんというフラレタリアート。なんか信長が気の毒で、泣いてしまいそうです。

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