将棋は駒の動かし方を知っている程度の私ですが、その一方で弁護士の裁判業務は将棋に似ている、という印象を持ってもいます。
例えばこちらがある内容の主張を出した場合、相手はどのように受けてくるのか。予想される受け手に対し、こちらはさらにどう返すのか。最初の手を別の主張に換えた場合、相手はどう出てきて、それをこちらはどう打ち返すのか。これらは将棋の発想にほかなりません。
相手が常に最善手で受けてくるとは限りませんが、少なくともこちらの初手を相手が受けた2手目に対して
「ぐぬぬぬ・・・」
と手が尽きてしまうような事件の依頼は、受けたくないものです。
もっとも、将棋の場合は開始時の駒の並びが決まっているため、両当事者が基本的には互角(性質上、先手が若干有利というのは置いておいて)なわけですが、弁護士業務の場合、最初の駒の並びからして互角ではなく、また依頼者の最初の説明と実際の駒の並びが違っていたりすることも珍しくありません。
金銀金銀金銀金銀金
・飛・・・・・角・
飛飛銀金王金銀飛飛
という並びだと思って喜んで受けたら、実は見えていた駒の字はほとんどフェイクで、実態は
歩歩歩歩王歩歩歩歩
・歩・・・・・歩・
歩歩歩歩歩歩歩歩歩
で
「おかしいだろ!?この並び!?」
「はい、笑六法さん、二歩で反則負けwww」
「まだ1手も指してねえぞ!?っていうか、三歩もあるじゃん!?」
・・・というのはさすがにアホすぎですが、まあどんな事案でも混ざり込む、予測と実体の配置のずれをも読みに加えなければならないのは、弁護士業務の奥深さです。・・・いや、これはもはや将棋というより「ナントカ黙示録カ〇ジ」の世界だ。。。