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死刑確定モラトリアム?1周年

最近、新たな死刑確定がないような気がする…と思って調べてみたところ、最後の死刑確定は2021年6月29日、筧千佐子死刑囚の上告棄却(厳密には訂正申立棄却日なのかもしれませんが…)でした。明日をもって「1年間新規死刑確定なし」という状況は、学生時代から趣味として死刑事件(の可能性がある重大事件)のウォッチを続け、某巨大掲示板の死刑関連板でコテハンを張っていたこともある私にも記憶にありません。

そういうわけで、過去の死刑確定時期を調べてみたところ、どうやら新規死刑確定者が1年以上発生しなかったのは、85年7月2日の控訴取下による死刑確定→87年1月19日の控訴取下による死刑確定という約1年半の「空白」以来のようです。さすがに小学生の時には死刑制度をウォッチしていなかった…。

85~87年に死刑確定がなかった背景としては、その少し前の83年7月8日の第一次永山事件最高裁判決で「永山基準」が示される直前に、「最高裁が死刑基準について新たに何かを示すらしい」ということで、死刑判決が予想される事件の下級審での審理がスローダウンした結果、その時期に死刑判決が最高裁に上告されて棄却されるべき事案の日程が後倒し(?)になり、上告棄却がなくなったためではないかと思われます(だからこそ、この時期の確定はいずれも上告棄却ではなく控訴取下)。

裁判所の審理日程という人為的な要素が大きかった前回と比較して、今回の現象は、殺人を含む刑事事件の純粋な減少によるもの(刑法犯による死亡被害者数と殺人認知件数・検挙件数 | データ・資料 | CrimeInfo)で、死刑廃止論については日頃から全く賛同していないことを公言する私でも、殺人を含む刑事犯の減少による事実上の死刑廃止状態が実現するのであれば、なんの文句もありません。

…しかし、残念ながら下級審で死刑判決を受けて最高裁係属中の事件、高裁係属中の事件は、各4件ずつあります。これも一時期に比べるとものすごく減ってはいるものの、これらの事件の確定によって、「死刑確定モラトリアム」がいずれ終わりを告げることは確実です。ちなみに、これら8件による死者は、計25名です。

笑六法は、「日本人の殺人離れ」がさらに進むことを願っております。

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