歴史に関わる責任

弁護士になる以前から刑事事件マニアで、今でも重大事件の判決と死刑執行のニュースには異常に脊椎反射してしまう私ですが、今思えば、早稲田の受験時代は物凄い環境にいたのに・・・と後悔することがあります。

私が主に受験指導を受けていたのは、法職講座を長らく担当していらっしゃった元裁判官の石丸俊彦先生でしたが、石丸裁判長・・・というと、日本の戦後裁判史の中で、最も多くの死者を出した無期懲役囚・・・連合赤軍案件で16人への殺人と1人への傷害致死に問われた吉野雅邦被告人に対し、高裁で地裁の死刑回避判決を支持した判決の際の訓戒が有名です。

「裁判所は被告人を法の名において生命を奪うようなことはしない。被告人自らその生命を絶つことも、神の支えた生命であるから許さない。被告人は生き続けて、その全存在をかけて罪を償ってほしい。君のXさんへの愛は真実のものであったと思う。そのことを見つめ続け、彼女と子どもの冥福を祈り続けるように」

吉野の罪状には、「革命」を目指す同志で妊娠中でもあった妻が「総括」という名のリンチの対象となった際、自分も総括対象となることを恐れて共犯となってしまった殺人も含まれているわけですが、死刑にしないと決めた以上、彼の心に最も響くであろう妻の事件を引き合いに出し、自殺が禁じられたクリスチャンである自らの信仰とも絡めながら、彼の魂の一番奥底に訴えかけようとしたその訓戒には、心打たれるものがあります。石丸裁判長は、法の番人としての立場から2件の死刑判決を言い渡しているということも踏まえれば(個人的心情を法に優先させるような方では断じてありませんでした)、なおさらこの訓戒は重い・・・気がします。

学生時代の私は、答案を通じて石丸先生にも認識していただいたようで、合格後に何度か個人的にお話を頂く機会を頂いたのですが、こうした歴史の証人的な事件のお話も聞かせていただけたことが、いかに貴重な体験であったかは、その当時はあまり認識できていませんでした。その価値が認識できたのは、先生が2007年に亡くなられた後だったりします。もっとお話を聞いておけばよかったと思うと、もったいないお化けが出てきそうです。。。

重大な刑事事件に関係することは、歴史に対する責任を負うことでもある。学生時代を振り返り、そんなことを考えながら迎えた国選・当番の待機日でした。

いと麗しきもの

ずいぶん大きくなった近所ぬる。

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約1ヶ月前と同一ぬる物とは思えないサイズになりました。

 

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平和を望む理由

最近、純愛同盟中堅氏に弁護士会のお仕事の関係で大きな借りを作ってしまいました。たった一度、それも2年間の期限を設定してはいるのですが、ある分野に関して彼に命じられた仕事を、私は拒否することができないのです。

先日の関係委員会で、負担がそんなに重くない債務仕事の引き受け手がなかなか見つからなかった際、彼に熱い視線を送ってみたのですが、彼は私の方を見向きもしませんでした。この程度の残高で帳尻が合ったとみなされては困るという気持ちなのでしょう。

私としては、彼が「これでは足りない・・・」「まだその時ではない・・・」と鬼札を抱えたまま、結局2年間の有効期限を徒過する展開を熱望しています。岡山は、平和でなければならないのです。

悪魔の囁きと見果てぬ妄想(ユメ)

私が「麒麟がくる」にハマっていることを知っている+明らかに本人も見ていると思われる某弁護士が、意地の悪い顔をしながら私に囁いてきました。

「笑六法先生も斎藤道三の『大きな国をつくるのじゃ・・・誰も手出しできぬ、大きな国を・・・』に感銘を受けたでしょう。そうであれば、笑六法先生は、『あおぞら法律事務所』をさらに大きくし、誰も手出しのできない事務所にするべきです!」

・・・現時点で弁護士4人なのに、不足なのかよ。。。私が登録した頃、岡山で最大の事務所はTS、KSで、当時弁護士30年目くらいのボスの下、それぞれ弁護士が(ボスを含めて)4人ずつだったので、単純な規模は既に並んでいるのですが。。。

私が複数拠点型の事務所拡大について、相当に悲観論者であるということは、あまり隠していないのですが、その一方、私が入居しているビルには、現在1室空きがあります。個人営業の弁護士が複数事務所を持つことは、現行法上は禁止されているはずですが、同じ建物の別フロアを2つ借りることは許容されているはずです。もしそれがアウトだとすると、私のフロアの前の入居者で、その後会長もされた某先生が・・・おや、こんな時間に誰か来たようだ。

閑話休題。そういうわけで、拠点集中による効率化を基本とする私の戦略に一番反しにくく、かつ前提が現状とは大きく変わらなくて済む、同じビルの別フロアを借り増すことを想定して計算してみました。水道光熱費、地代家賃、リース料あたりはほぼ2倍、消耗品費・雑費もそれなりに増えるでしょう。また、どう考えても現状以上に増やすことができない弁護士は、1~2名増員余地ができるでしょうが、そうすると事務員も同様に増やす必要が生じます。

それらによる支出増を単純に私の所得から引いてみたところ、なかなか素敵な結果となりました。増員弁護士がどれだけ稼いでくれたら、その支出増加分を吸収できるのかを試算してみたところ、もっと素敵な結果が出ました。悪い奴が私に「大きな事務所をつくるのじゃ・・・」と言いたくなる気持ちも分かります。

道三さまの教えは美しいけれど、遠いと言わざるを得ません。だからこそ、人はあくなき妄想夢を見るのです。「誰も手出しできぬ、大きな事務所」・・・七たび生まれ変わったら考えることにします。なお、どれくらい大きくなれば「誰も手出しできぬ」のかについて、全国展開でも足りないようですが。。。

衝撃の数字

税理士から上がってきた先月の支出を見て(  д )  ゚ ゚ となったのが・・・交際接待費。まさかの4桁、それも前半でした。4月はいちおう5桁を維持(?)していたのですが。。。おそるべき、コロナの影響。。。

明らかに1件だけだと思われるため、その1件がいつ、どこのことだろうと考えてみるのですが、思い出せません。不思議なこともあるものです。

フクロウの悪夢2

東京ミネルヴァ破産のニュースで、はや同事務所が広告会社(?)に乗っ取られていた・・・というお話がネット記事(といってもマスメディア発信)で広がっています。

確かに8年間で52億円の負債をつくるのは、通常の法律事務所には目でピーナッツをかむより難しいことかもしれません。この事務所の弁護士数はピーク時でも10人くらいだったらしいことから物凄くざっと考えてみても、

・弁護士人件費 1500万円(こんな事務所での仕事、通常の相場よりよほど高くない限りやらないよね・・・)×10=1.5億円

・事務員人件費 300万円(新興のこうした事務所では、勤続年数も短いし、これくらいかな・・・という数字)×100人(債務整理系は事務員が多い)=3億円

・場所代 坪3万円(新橋の賃貸相場。ネットで調べた。異論は認めます)×500坪(知らないけれど、事務員100人は入れる+相談室も確保するとしたら、それくらい必要かと)×12=1億8000万円

通常の事務所で支出のかなりの割合を占めるはずのこれらだけでは、売上ゼロで一切支払いもしないまま、8年間走り続けても足りません。

「TVやラジオでの広告費もでかいはず」

という声も聞きますが、確かにこれらは単価はでかいにしても、広告費の支払いが止まったら、新規放映が切られる結果、負債の増加も止まるはずです。直近まで回し続けていたのなら、ここの未払いが10億円とかになることは、たぶんないはずです。

当然オフィス用品のリースとかもあるでしょうし、業態的には相談会の経費とかもかかるのでしょうが、その一方、最初から赤字であればそこまで負債を膨らませる以前に飛ぶ水準のため、8年間平均値というよりは、直近でもっと大規模に増やしているような気がするため、「負債52億円」のハードルはさらに上がります。・・・その謎が、顧客に返還するべき預り金を根こそぎ流用されたとすれば、一気に説明がついてしまう。。。

今後の続報を待ちたいと思います。

名鑑の一口コメント?

よみがえった野球を見ながら、ふと「自分の弁護士としての特徴を、野球選手の特徴に置き換えたら、どんな選手になるんだろう」と考えました。信長の野望風な戦国武将ステータスほど露骨でない分、穏健な気がします。

「そこそこの直球とやや多彩な変化球の組み立てで勝負するタイプ。確実に打者を打ち取れるウイニングショットを欠くことが最大の課題。若いころからの酷使による勤続疲労が心配。マウンド度胸はあるように見えて案外繊細なので、ストッパーには向かない」

周囲から見たイメージと比べて、いかがでしょうか。

 

無頼派ハードボイルドの思い出

「麒麟がくる」以外の連続ドラマは全く見ておらず、従ってコロナによる放映の乱れの影響は少ない私ですが、たまたま近々放送開始するらしいドラマの番宣の中に、興味を惹かれるものがありました。

竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)は、生まれてまもなく小さな運送会社を営む吉江夫妻に養子として引き取られた双子の兄弟。その後、夫妻の間に生まれた妹の美佐(松本穂香)を加え、5人家族として仲良く暮らしていた。しかし、二人が15歳のとき、霧島源平(遠藤憲一)率いる運送会社の悪質な乗っ取りに遭い、多額の借金を抱えた両親は、自殺してしまう。二人は、両親から命を、そして幼い妹の美佐から実の親を奪った霧島への復讐を誓い合う。

それから7年後、竜一は整形で別人になり替わり、裏社会と関わりを持ち始める。一方、竜二は運送会社を監督する国土交通省に入省する。竜一が生きていることは、妹の美佐も知らない二人だけの秘密。「これからは、なんでも二人だ」。コインの裏表のような、正反対の立場の双子による、波乱万丈の復讐劇が幕を開ける!

(「竜の道」 フジテレビ番組紹介より)

なんか燃えるストーリーだと思ったら、原作は白川道の遺作ではないですか。。。

白川道は、もともとは一橋大卒でエリートコースに十分乗れる地頭の持ち主だったはずなのですが、若いころにいろいろ無茶をして、商品先物会社にいたり、投資ジャーナル事件に関与したり、ついには経済事犯で実刑判決を受けて服役したりした後、刑務所で小説の書き方を覚えて40代後半でデビューした・・・という㌧でもない経歴の作家です。破天荒で無頼で破滅的な生き方は、作家として売れるようになった後も変わることなく、いくつかの印象的な作品を残して70歳で亡くなりました。

私はかつて、彼の作品の中でも特に「天国への階段」に魂を奪われました。佐藤浩市主演、脚本は、「麒麟がくる」と同じ池端俊策のドラマも、視聴率は振るわなかったものの、最終回以外は最高でした。今回は競馬要素はないようですが、同じ「男の復讐」ものとして見逃せません(なお、「天国の階段」なる韓国ドラマもあるようですが、別物です)。

懐かしいので、「天国への階段」の聖地・絵笛駅の写真を置いておきます。こんな駅からどこかへフラッと消えてしまいたくなることがたまにあります。

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フクロウの悪夢

「東京ミネルヴァ法律事務所が破産」というニュースを見ました。事務所の名前を聞いた際には、刑事で超高名な先生の事務所名がそんな感じだったと記憶していたため、その先生の事務所のことかと思ってぶったまげたのですが、本気で調べてみたところ、その先生が所属していたのは「ミネルバ法律事務所」で、そもそも今回の事務所ではなく、さらに現在はその事務所からも離れていらっしゃったため、完全に無関係でした。

ミネルバ(ヴァ)というと、知恵などをつかさどるローマの女神様の名前(フクロウとよくいっしょにいます)なので、事務所名になってもおかしくない単語です。そこで、日弁連の弁護士検索を使って事務所名「ミネル」で検索してみると、東京の「ミネルバ」、今回破産開始決定が出た「弁護士法人東京ミネルヴァ」、大阪の「ミネルヴァ」各法律事務所が現存していました。名前が名前だけに風評被害を受けたりすることもあるのでしょうか。全国に存在する「あおぞら」(「青空」)法律事務所のどこかが騒動を起こさないことを心底から願っています。

それにしても、「東京ミネルヴァ」のピーク時に弁護士が何人所属していたのかは不明ですが、設立からわずか8年で負債額51億円というのは、我々の感覚ではありえない数字です。少し前に倒産したレナウンの負債総額が約138億円でしたからね。。。「仕入れ」という概念がほとんどない我々の業界では、「売上の前に必要になる経費」が基本的に固定費であるという特徴があるため、負債は大きくなりにくい一方、固定費の支出が売り上げを上回ることが常態になった場合の挽回も難しかったりするのですが、1年前には年商18億円という報道もあるこの事務所が、どうやったらこのスピードで肥大化し、巨額の負債を抱えることになったのかを考えると、暗然たる気分となります。。。

過払い金で名を成した事務所のようですが、負債の中に含まれているはずである、消費者金融から返還後、依頼者と清算前の預り金がどの程度含まれているのか、そしてその預り金は保全されているのかどうか(「あるべき管理」がなされているのであれば、100%保全されている『はず』ではあるのですが・・・)、続報を待ちたいと思います。

吉備中央町は備前なりや備中なりや。。。

弁護士会から、ある分野で新しく業務用の名簿を作る旨のお達しが届いていました。需要・供給とも多いことが予測される岡山市、倉敷市はそれぞれ独立した地域として希望を取る一方、その他の市町村については「備前」「備中」「美作」に分け、計5地域について名簿登録するかどうかを問うようです。

よく似た概念として、刑事の「県北名簿」なるものも存在しているのですが、その場で展開された

「美作ならず備中たる新見は、果たして県北なりや否や」

という議論を知らない方にとっては、岡山県を旧国単位で区分するのはかなり目新しい議論かもしれません。

備前・・・玉野市、瀬戸内市、赤磐市、備前市、和気町、吉備中央町

備中・・・笠岡市、井原市、総社市、高梁市、新見市、浅口市、早島町、里庄町、矢掛町

美作・・・津山市、真庭市、鏡野町、美咲町、久米南町、勝央町、奈義町、西粟倉村、新庄村

笠岡市はごく一部が備後にはみ出しているとか、備前はごく一部兵庫県域を含んでいるとかの揚げ足取りには目をつぶり、美作とされる真庭市の一部(旧北房町)は備中、美咲町のごく一部は備前だとかのもう少し大きな問題もとりあえず措いておくとして、吉備中央町が備前なのか備中なのかについては、おおいに議論の余地があります。

かつて、2代目Tスポ編集長は、「岡山の負け組合併」として失礼にも吉備中央町を例に挙げたのですが、実際には、賀陽郡賀陽町と御津郡加茂川町は、平成の大合併が始まる前に出された総務省や岡山県の推奨パターンを無視し、あえて吉備高原都市の開発を通じた血盟関係を自ら選んだものです。その証拠に、岡山県下における平成の大合併の中で最も早く成立したのが、吉備中央町だったりします。この点に対する彼の事実認識は、明らかに間違いであると言わなければなりません。(その意味で負け組なのは、みさ・・・ゲフンゲフン)

賀陽町と加茂川町が合併してできた新自治体が吉備中央町ということになりますが、賀陽町は備中、加茂川町は備前に属します。人口的には、合併当時の数字で賀陽町が8000人強、加茂川町が6000人強と賀陽町がやや多く、町役場本庁も賀陽町です。こうした観点からすると、吉備中央町は備前というより備中寄りなのに、なぜに備前なのでしょうか。

もっとも、前記の組み合わせだと、岡山市と倉敷市を別カウントにした関係で、人口的に備中>備前、美作となります。そのバランスをとるために、数合わせ要員として備中ではなく備前に送り込まれたのかもしれません。そうだとすると、未来の首都を数合わせ要員にするとは、なんたる不遜。。。

吉備中央町の仕事を取るためには、備前市や瀬戸内市、和気町もあわせて取る覚悟が必要(そして、笠岡や井原の覚悟は不要)・・・というのが果たしてどのように受け止められるかは知りませんが、吉備中央町になぜか忠誠を誓う私が備前に迷わず丸を付けたことは言うまでもありません(なお、同時に複数の丸を付けることも可能な模様)。